休憩室でお菓子を食べていると、
「もおーー!大変だったよ今日はー!」
と、不機嫌な様子の瀬山さんが入ってきた。
とりあえず、どうしたんですかと聞いてみた。
瀬山「小田さんがさぁー、上の子の具合が悪いとか言って突然帰ったんだよねー!」
キャ「はぁ」
瀬山「そりゃ小さい子ならいいよ?どうぞ帰って早く看病なさいって思うよ。でも小田さんちの上の子って…中3だよ??そろそろ1人で家で帰って寝るくらいできないもんかね?」
子供が具合悪くなった時、何歳になるまで親は早退して駆けつけなければいけないのか。これは各家庭の考え方によるし、また、子供の具合の悪さの程度や持病、その時の状況に左右されるので、一概に何が正解で何が間違ってるとも言えない。どんなにしっかりした子でも、本当に大変な状態だったら大学生だろうが駆けつけなければいけないと思うし。
小田さんの子供の状況が全くわからないから何とも言えないが、瀬山さんと小田さんは普段から仲があまり良くないので、瀬山さんは今日のことがどうしても気に入らないらしい。
瀬山「だって、うちの子は中学上がったくらいからは1人で家に帰ってもらってたもん。みんなは?みんなの中学くらいの頃はどうしてた??」
瀬山さんにそう尋ねられ、私は自分の中学時代を思い出した。
全く、思い出せない。
自分が具合悪くなった時、どうしてもらっていたか。
保健室に行った?
気分の悪いまま死ぬ気で自転車を漕いだ??
何も思い出せない。
母に申し訳ない。
ふと顔を上げると、何故かそこにいた倉田さんと土井さんも黙りこんでいた。
数秒訪れた沈黙を破ったのは倉田さんだった。
「私…そもそも身体壊したことがないですね。」
私は、一緒になって黙り込んでいた土井さんと一緒に ハッとなった。
キャ「そうだ、そうです!私も中学の頃身体全然壊さなかったです!」
土井「私もそうだ!だって皆勤賞とかとってるくらいだったもん!」
キャ「私も!」
倉田「私も!下手したら小学校の時も!」
キャ「だから思い出せなかったんだー!」
うちの職場には健康な人がいっぱいいることを知った。