理系の仕事をしているのだが、
他部署のとても偉い立場の人である生野さんという人が、この度論文を発表することになったらしい。
そして生野さんの研究には、我々の部署の仕事もちょっとだけ、ちょーっとだけ携わっているので、部署から4人、論文に一緒に名前を載せていただけることになった。
キャ「その4人ってさ、どうやって決めるのかな」
優子「年功序列で4人じゃないんですかね」
そんなことを話していると、梅村係長がやってきて言った。
梅村「さっき部長が来て言ってたんだけど、去年から今日までの生野さんの研究の関連業務に関わった件数が多い順に4人決めようだって。とりあえず件数集計するね」
その発言を聞いて、背筋に一瞬の緊張が走った。
これは仕事の貢献度の評価に直結するのではないか?
その生野さんの研究の関連業務というのは、実は数ある業務の中でも時間もかかるし難しいし、ハードルの高い仕事なのである。でも特に担当が決まっているわけではないので、誰かしらやる気のある人が率先してやらなければならない。
誰がやるとも決まっていない面倒な業務を最も数こなしている=仕事への貢献度も高い という評価に繋がり、みんなから一目置かれるだろう。
逆に若手のくせに全然やってなければ、白い目で見られてしまうかもしれない。
どうか最下位とかじゃありませんように…そう願いながら、夕方、集計結果を持った梅村係長の元に集合した。
梅村「それではー、、発表します!まず第一位、さすがの原田さん!185件!」
私は驚愕した。みんなもちょっとザワついた。
原田さんは日頃から真面目で何でも率先してやってくれる人だけど…にしても…一人で185件だと…!?たった1年で!?
私はランキング入りを諦め、若手の分際で最下位にはなりませんようにと祈ることに徹した。
梅村「続いて、第二位、、、働き者の須田さん!62件!」
二位は後輩の優子だった。だいぶ若手ということもあり日頃からいろいろやってくれてるし当然の結果だ。
ここでちょっと気づいた。
一位が185件で二位が62件。
原田さん、バリバリやりすぎでは??
二位の数字がガクンと下がったことを受けて、やっぱり私にもランキング入りのチャンスがあるかもしれない!と再度期待を抱いて続報を聞いた
梅村「三位!倉田さん!47件!」
三位はいつも頼りにしている倉田さんがランクイン。これも当然の結果だ。
残る枠は一人。
でも私は、四位は岡島先輩なんだろうなと薄々考えていた。岡島先輩はいつもなんでも手伝ってくれるし、二位とかになっててもおかしくない働きぶりを見せているから。
梅村「じゃあ発表するよー。ラスト!四位は。。。。。キャンディ!40件!」
ランク入りできた。
ちなみに岡島先輩とは3件差で超僅差だった。
ランク入りを果たしたことで、給料は1円たりとも上がらないけど、生野氏の論文に混ぜてもらえることと、そこそこ頑張っている証明ができたので普通に嬉しかった。
あと原田さんくらいのガッツを持って働きたいと思った。