毎年、年度始めに一年間の個人目標などを書いて、人事に計画書として提出する。
大体いつも同じような目標になっているが、自分もとりあえず書き終えて提出し、通常業務へと戻った。
すると、気になる光景が目に飛び込んできた。
原田さんが、何やらA4紙に手書きで文章をびっしり書いている。
手紙?ポエム?仕事中に???
何をしているのか、ちょっと気になったので話しかけてみた。
キャ「原田さん、それは何を書いてるんですか?」
原田「年始の計画書です」
実は原田さん、年は上だけど、うちに最近中途で入ってきたばかりの人である。
私は親切に教えてあげた。
キャ「計画書は手書きじゃなくて、ここの共有ファイルからワードの様式をコピーしてもらって、パソコン入力して作るんですよー。確かに目標って言われると、手書きの方が熱意伝わる感ありますけどね笑」
すると原田さんは、恥ずかしそうに返事した。
原田「私…ダメなんです。」
キャ「ダメ?」
原田「私、いきなり文章をパソコンに打ち込むことができないんです。一度全部手書きで下書きして、それからその文章を見ながら入力しないと、書類書けないんです」
原田さんの告白に衝撃を受けた。
うちの係は数字メインの仕事なので、文章をワードに入力するという仕事は普段あまりない。だからずっと気づかなかった。
一度手書きで全部書く→それを、ディスプレイと手元の紙を交互に見ながら入力するという工程は非常に面倒臭い。恐らく3倍くらい時間がかかるであろうやり方だ。
うちは普段は数字相手だけど、今日みたいにワードで文書作成系の業務も全く無いわけではない。だから無理矢理にでも、今からでも、パソコン入力のみで書類を完成させるスキルは身につけておいた方が良いと思う。異動だってあるかもしれないし。
それを、年下の立場ながらも原田さんに助言しようと思った。
しかし私は、昨日のサンデージャポンで紹介されていた「テクハラ」という単語を思い出した。
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「テクハラ」とは、テクノロジーハラスメントあるいはテクニカルハラスメントの略で、ITに疎く、コンピューターなどハイテク機器の扱いが苦手な人へのいじめ・嫌がらせのことです。ITに関する知識が豊富でスキルの高い人がそうではない人に対し、わざとわかりそうもない専門用語で指示を出して追い詰めたり、相手が対応できないと侮辱的な言葉で叱責したりする行為がテクハラに相当するとされています。(日本の人事部 より)
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普通ハラスメントと聞くと、上→下という方向を思い浮かべるが、これは、下→上へのハラスメントなのだそう。
私はITスキルが豊富なわけではないし、原田さんを専門用語で責め立てる気もない。パソコン一つで文章を書けるようにしましょう、と助言するだけのつもりだ。
けど、原田さんが思ってる以上に繊細だったら、、、テクハラと言われてしまう可能性もあるのでは??
そんな不安が頭をよぎったので
「さすが…丁寧ですねっ。」
と一言言って自分の業務に戻った。
完全に守りに入った自分のダサさはあまり考えないようにした。
後になって考えるとそれくらい言っても絶対問題ないじゃんと思えてくるし。
でもハラスメントは多様化し過ぎ。