「あー、痩せなきゃなぁ」
休憩室で、ミルクティーとモナカを食べながら部長が言った。
倉田「現時点で何か取り組んでることあるんですか?」
部長「あるよ。俺夕飯グミだけにしてる」
もも「グミ…?」
倉田「身体に悪そう…」
キャ「何袋食べてるんですか」
部長「はぁ?一袋に決まってんだろ!何袋も食ってたら意味ないだろ〜ははっ笑」
キャ(よく威張って言えるな…)
もも「どうせ置き換えるなら、ブロッコリーだけとか、ササミだけとか、あとダイエット用の置き換えドリンク?とか、もっとヘルシーなものにすればいいじゃないですか」
部長「それはやだ〜味気ないじゃん」
手始めにモナカに合わせるものをミルクティーから緑茶に変えるとこから始めたらどうかと思ったが、最近のダイエットはとにかく食より運動に力を入れろと言われている。過酷な食事制限をしたり、やたらと糖質をカットするより、筋トレをして筋肉をたくさんつけた方が代謝が上がってすぐ痩せると美容系インスタグラマーがこぞって熱弁している。
なので私も美容系インスタグラマーさながらに、50代男性の部長に美のアドバイスをした。
キャ「絶対食事制限より運動した方が効果あると思いますよ。筋肉をつけると代謝が上がって痩せやすくなるんですよ。脂肪燃やすなら有酸素運動もできるだけしないとだし。私の行ってるジム紹介しますよ。部長の帰り道の途中にあるから通いやすいと思う!」
部長「いや…いい。」
キャ「安いですようちのジム。ちょっと行ってダメなら辞めてくればいいじゃないですか」
部長「ジムは痩せてからじゃないと恥ずかしくて行けないんだよ!」
キャ「デブも結構いるから大丈夫です!」
部長「…でもやだ。恥ずかしい。」
キャ「じゃあもう黙って外走ってきたらいいんですよ」
もも「今外行って走ってきたらどうですか」
部長「やだー」
この人が痩せる日も、タンクトップ着て堂々とジムに行ける日も、多分一生来ない。
そして部長ができる一番手っ取り早いダイエットは、休憩室に来ないことだと思った。